予約キャンセル料の設定は、お客様と店をつなぐ“信用”でもある。キャンセルポリシーに承諾し、予約をしてくださるお客様に誠心誠意、料理で応えたい。(日本料理 鷹の羽)
静岡観光の玄関口であるJR東海道線「静岡駅」から徒歩圏内に店を構える「日本料理 鷹の羽」さん。
木の温もりを感じる店内は、調理風景を眺められるカウンター8席のみ。
東京の日本料理の名店で20年間、研鑽を積まれた店主の丸茂公太朗さんの熟練した所作と共に、時季ごとに旬の素材を使った和食のコース料理を愉しむことができます。
2023年9月のオープン当初からRespo予約台帳を導入。
決め手は「オンライン予約による効率化と予約キャンセル料を回収できること」だったといいます。「予約キャンセル料の設定はお客様と店をつなぐ“信用”でもある」という丸茂さん。
完全予約制の同店においてオンライン予約は全体の4割。
キャンセルポリシーへの思いやRespo予約台帳を導入した感想について伺いました。
作成日:2023年12月21日
更新日:2025年1月6日

目次
東京から静岡へ移住し、10年来の構想を実現
―――開業までの経緯を教えてください。
わたしは生まれも育ちも東京で、専門学校を卒業してから都内のホテルや西麻布の日本料理店で20年ほど修行をしてきたのですが、10年ほど前からいずれ静岡に移住して自分の店を持つという構想がありました。この土地を選んだ理由は、妻の地元が静岡市だったこと、海も山も近いので新鮮な食材が手に入りやすい場所だったからです。
瞬間的な思いで移住を決めたわけではなく、10年前には新天地で店を開くという覚悟はありました。職人としての経験を積み、家族のタイミングなどを見ながら2023年9月27日に開業しました。私の実家の家紋が「丸に違い鷹の羽」という家紋で、そこから一部を店名に取りました。
―――静岡市は漁港も近く海の幸のイメージがありますが、山の食材も豊富なんですね。
そうですね。静岡の食材で有名なのはサクラエビや生しらす、ブランド鯵などがありますが、山も近いので今の季節は自然薯やシイタケなど旬の旨味が詰まった山の幸もおすすめです。毎朝、食材の仕入れに行くのですが、産地が近いので魚も野菜もとにかく鮮度が抜群なんです。創作意欲を刺激されるといいますか、使っていてワクワクしますね。地の物、旬の食材を使った季節感のあるコース料理をお作りしています。
―――彩り鮮やかな和食を引き立てる器も素敵ですね。
有難うございます。器は修行時代から集めていたものが多数あり、それぞれに思い入れがあります。中でも福井県の窯元さんの作品は、他には無い色艶があり、静岡に縁がある方でしたので開業に合わせて新たに制作していただきました。

オンライン予約は4割。他社に比べて割安な月額利用料と予約キャンセル料の回収が魅力
―――開店当初からRespo予約台帳を導入されていますが、導入の決め手は何でしたか?
毎日の仕入れから調理、接客まで全てを自分ひとりで担っていますので、予約管理のシステム化ははじめから考えていました。
以前勤めていた店で他社の予約台帳システムを使っていたのでいろいろなものがあることは知っていましたが、オートリザーブさんは定額の月額料金が他社と比べて割安だと思います。月額の利用料金だけでオンライン予約の度に送客手数料がかからないことと、予約キャンセルが発生した時にキャンセル料が回収できるというところに魅力を感じました。
―――貴店は予約制とのことですが、予約状況や客層について教えてください。
席数が限られていること、わたしがひとりで店を切り盛りしていることもあり、当店では基本的に予約制とさせていただいています。電話予約のお客様が6割、オンライン予約は4割です。
近所にお住いのご夫婦やご家族の記念日でご利用される方、食事が好きな仲間内でいらっしゃるお客様もいらっしゃいます。開店して2ヵ月半なので大半はご新規のお客様ですが、中には2回、3回と足を運んでくださる方や、来店された方の口コミで新しいお客様につながる場合もあって大変ありがたいです。
―――「電話予約6割、オンライン予約4割」は当初の想定通りでしたか?
当初の見込みよりも年配のお客様は電話予約をされる方が多い印象ですね。
電話予約の場合、午前中は仕入れに出るため店は不在となり、電話対応できる時間帯は営業開始前の13時~16時ごろになります。仕込みや準備時間と重なりますので、その都度、手を止めて対応する必要はありますが、電話予約でしか予約をできない方もいらっしゃいますので仕方ないかなと思います。
一方で電話予約をされるお客様の中にはオンライン予約のやり方がわからなくて電話したという方も少なくないので、オンライン予約に興味をもってくださる方に対しては予約までの動線をご案内することで今後オンライン予約の比率を上げる余地はあると感じます。もう少しオンライン予約が増えてくれると嬉しいですね。現在は当店のホームページ上でオートリザーブさんの予約サイトへリンクを貼っているのと、InstagramからDMでメッセージをいただく方法をご案内しています。
キャンセルポリシーへの承諾はお客様と店が取り交わす「信用」

―――予約キャンセル料の設定についてはどのように感じますか?
同業の仲間から「予約キャンセルがあると店にとっては打撃が大きい」という話はよく耳にしていたので、オートリザーブさんの予約キャンセル料を回収ができるところは導入を決める上で重要なポイントでした。
予約キャンセル料の回収は売上金額の補填という意味だけではなく、わたしはお客様と店の互いの“信用”とも言い換えられると思っています。お客様にとってはキャンセルポリシーに納得していただいた上で予約をされます。決して軽い気持ちではなく、それを支払う覚悟で予約をしてくださっているという店への“信用”を感じます。店としては、不測の事態がない限りは必ず来てくださるというお客様への“信用”と、そこまでして予約してくださったお客様へ満足のいく食事を提供するという“信用”を互いに交わしているような感覚です。
―――「キャンセルが発生した際は大きな打撃がある」とのことですが、具体的にはどのようなダメージがあるでしょうか?
当店では幸いこれまで予約キャンセルが発生してお客様にキャンセル料を支払っていただくケースはないのですが、小さな店なので予約キャンセルがあれば当然売り上げに響くと思います。現実的な問題として売り上げへの影響は大きいですが、それ以上に仕入れた素材や仕込みをした食材をダメにしてしまうというのは料理人としては何より心が痛みますね。
―――Respo予約台帳の操作性についてはいかがですか?
以前は予約の電話を取りながら入力することに慎重になり時間がかかっていたのですが、最近はお客様をお待たせすることなくスムーズに入力作業ができるようになりました。電話予約、オンライン予約ともに完了するとカレンダー上で予約状況を確認できるので、仕入れの時には便利ですね。
―――Respo予約台帳はどのような店舗で活用できると思われますか?
当店のような小さな規模で、少ない人員で経営されているような店舗ではメリットがあると思います。開業して実感したことですが、静岡のような地方都市は年配のお客様の比率も高く、若い方でもネット利用にあまり慣れていない方もいらっしゃいますが、都市部では若年層のお客様も多く、オンライン予約のハードルは地方都市よりも低いのではないでしょうか。
「専心一意」に込めた思い
―――今後の展望についてお聞かせください。
東京の店で長らくやってきましたので、東京とのギャップを感じることは多々あります。例えば、東京は全国から鮮度も良く豊富な種類の食材が集まるので、たいていのものは手に入ります。一方、地方都市は食材の産地としてはとても豊かですが、そこで採れる良い食材は東京などの大都市に行ってしまうことが多いので、地元で良い食材を選ぶには販路を確保することや自分の足で探すことが求められます。
静岡での暮らしはまだ日が浅いのでわからないことも多いのですが、今は良い食材を選んで自分が出せる最良の料理を出していますが、ゆくゆくはこの土地に合った逸品料理を出していけるよう日々精進しています。
店内に書道家の先生に書いていただいた「専心一意」の書を掲げています。こちらは以前お勉強のために食事に行った店でたまたま居合わせた書道家の先生をその店の大将が紹介してくださいました。その時のご縁から、自分が店を開く時にはその書道家の先生にぜひ一筆書いていただきたいと思ってお願いしたものです。わたしは語彙力が無いので、仕事に対するイメージをお伝えして話し合いながらこの言葉に決まりました。この言葉のように、脇目も振らずに夢中に仕事を続けていきたいと思います。

店舗情報
日本料理 鷹の羽
住所:静岡県静岡市葵区鷹匠2-10-8 パサージュ鷹匠1階
電話番号:050-5538-3514
店舗詳細:https://autoreserve.com/restaurants/dCfXhJoNjp2GB6SqEC8n