飲食店を開業する際に開業届を提出するメリットとは?開業時に必要な対応もご紹介

開業に必要な飲食店の開業届とは?

飲食店の開業届の書き方
- 開業に丸をつける
- 現住所か出店予定地の住所の所轄税務署を記入
- 書類提出日を記入
- 自宅か事務所の住所を記入
- 代表者のマイナンバーを記入
- 屋号に自分のお店や事務所など、個人事業の名前を記入
- 開業に丸をつける
- 開業日を記入
- 青色申告承認申請書を一緒に提出する場合、「有」に丸、「消費税に関する」は「無」に丸をつける
- 事業内容を記入
- 配偶者や親族で年間6か月以上働いている人や、従業員に給与を支払う場合は記入
飲食店の開業届を申請する流れ
飲食店を開業する際に必要な対応
また、届出をしないと開業できないものの他に、場合によっては届出をしないものもあり、ここでは届出をする可能性の高いものを紹介します。
食品衛生責任者の届出
食品衛生責任者の届出は保健所に提出する飲食店営業許可申請書の中に含まれており、飲食店を開業するときには食品衛生責任者の資格が必要です。
食品衛生責任者の資格は、調理師免許や栄養士などの食品関係の資格を持っていればそれに付随して取得できますが、そのような資格は持っていない場合は各都道府県が実施している講習会を受講する必要があります。
受講料は10,000円前後で講習期間は1日です。
飲食店営業許可の申請
申請する営業許可業種には「喫茶店営業」「飲食店営業」の2種類があります。
ただし喫茶店営業許可では、店内で調理ができずコーヒーやソフトドリンクなど販売で営業しなければならないので、ほとんどの飲食店は飲食店営業許可の申請をすることになります。
飲食店営業許可申請をするには、保健所に届出を提出しなければなりませんが、規定が細かく定められています。
厨房の明るさ、シンクの種類、食器棚の扉の有無などチェック項目は様々です。
もともと飲食店で営業していた店を使う形であっても法改正により現在の基準とは合わない場合があります。
そのため、たとえ居抜き物件であっても結果として内装工事にかかる費用がかさむ場合があります。物件を決める前にまずは保健所に相談して内装工事が必要かどうか確認しておきましょう。
また、内装工事が終わった後に保健所に届出をして基準に満たしていない場合、指摘を受けてしまう可能性があります。なので、図面が出来上がった時点で保健所に相談をすることをおすすめしています。
防火管理者の選任届出の提出
防火管理者の資格は各地の消防署で講義を受けることで取得することができます。
店舗の収容人数が30人未満の店舗であれば提出をする必要はありませんが、30人以上の店舗の場合は必ずこの防火管理者の選任届出を提出しなければなりません。
そのほか「防火対象物使用開始届出」を消防署に提出する必要があります。
防火対象物使用開始届出は、内装業者が代理で提出することもあるので、居抜き物件の場合は不動産会社に確認しておきましょう。
社会保険への加入
社会保険には「労災保険」や「雇用保険」などがあります。
雇用保険:失業した際に次の仕事に就くまでに必要な給付を受けられる制度
個人事業主の開業・廃業等届出書
個人事業主の場合は開業届を提出しなければなりませんが、飲食店を開業した際は必ずしもこの開業届を提出する必要はありません。
深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
一方、昼間の酒類提供では届出書の提出は必要ありません。居酒屋やバーなどでの開業を考えている方は事前に用意しておきましょう。
その他に営業内容によって必要な届け出
- 菓子製造業許可
- 酒類販売業免許
- 風俗営業許可
菓子製造業許可
店内で提供する場合には、不要ですがテイクアウトでの販売を検討されている方は、許可を取得しましょう。
酒類販売業免許
一般的な飲食店であれば、「一般酒類小売業免許」の取得で酒類のほとんどの提供ができます。
また、店舗でボトルで提供したお酒の残りを持ち帰ることでも酒類を販売したとみなされます。無免許で酒類の提供、販売した場合は、酒税法違反で1年以下の懲役または、50万円以下の罰金を科される可能性があるので注意しましょう。
風俗営業許可
また、風俗営業許可が下りない地域もあるので注意が必要です。スナックやキャバクラで開業したい場合は、管轄の警察署へ開業2ヶ月前に届け出を出しましょう。
個人事業主で飲食店を開業するメリット
- 開業の手続きが簡単
- 開業費用や経費を抑えられる
- 決定権を握れる
開業の手続きが簡単
一方で、法人の場合は設立から経理など複雑な手続きが必要です。法人設立には、税務署、法務局、証役場、都道府県か市区町村の税務課、年金事務所へ届け出を提出しなければいけません。
また、廃業する際の手続きも法人の場合だと弁護士に依頼する必要があります。個人事業主であれば、手続きも費用も不要なため簡単です。
開業費用や経費が抑えられる
一方、法人の場合、定款を作成する費用、登記の印紙代等が必要であるため、合同会社は最低6万円、株式会社は最低25万円がかかります。開業前の資金が少ない状態だと、少しでも経費を抑えることができる個人事業主がおすすめでしょう。
決定権を握れる
法人であれば、たとえ1人であっても役員会議を開かなければならず、その内容を議事録に残す必要があります。ましてや、株式を投資家や知人に譲渡している場合には、経営に関して口出しをされることがあります。
個人事業主で飲食店を開業するデメリット
- 損害を自ら補償しなければいけない
- 資金調達がしにくい
- 社会保険に加入できない
損害を自ら補償しなければいけない
資金調達がしにくい
社会保険に加入できない
法人で飲食店を開業するメリット
- 節税ができる
- 事業継承がしやすい
- 資金調達と求人がしやすい
節税ができる
また、個人の支払いも経費として計上できるため、個人の自動車や借り上げ社宅として経費を計上することで、節税できるのがメリットです。
事業承継がしやすい
資金調達と求人がしやすい
また、求人に関しても個人のメールアドレスから連絡などが来るよりも法人からのメールアドレスであるほうが、信頼が増します。個人よりも法人であるほうが資金調達と求人に有利です。
法人で飲食店を開業するデメリット
- 設立費用がかかる
- 手続きが面倒
- 意思決定が遅くなる
設立費用がかかる
設立費用が個人事業主が0円に対して、会社設立だと合同会社でも6万円はかかってしまうため、初期費用をなるべく抑えたい方は個人事業主として登録し、売上が見込めてきたところで法人に変更するのがおすすめです。
手続きが面倒
飲食店を開業するにあたって、準備しなければならないことはたくさんあります。そのなかで、法人の手続きで手間取ってしまってOPEN予定日に間に合わない。ということがないように、計画的に手続きを進めることが大切です。
意思決定が遅くなる
そのため、フットワークが重くなるのがデメリットといえるでしょう。
飲食店の開業届を提出するとできる青色申告とは?

しかし開業届を提出することで多くのメリットがあるので、飲食店を開業する方は開業届を提出するケースが多いです。
その中で最も大きなメリットが、青色申告で確定申告ができるという点です。
青色申告とは、確定申告を行う際に複式簿記等の方法により記帳する申告制度のことを指します。
青色申告のメリット
赤字の繰越とは今年の赤字を翌年以降(個人事業主で最長3年間、法人で最長9年)の所得から差し引くことで、白色申告の場合これができません。
青色申告は通常の申告と比べて提出書類等が多いですが、その分控除される金額も多いので大きなメリットがあります。
青色申告以外に飲食店の開業届を提出するメリット
- 小規模企業共済による退職金制度が利用できる
小規模企業共済とは、年金のような制度で、毎月の積み立てによる退職金制度で中小機構という独立行政法人が運営しています。毎月定額掛け金を支払いますが、その金額は完全に任意で500円単位で決めることができます。
さらに掛け金は全額が所得控除の対象となっており、節税対策にもなりますし、事業を辞めた際は必ず受け取ることができるので、老後の生活のために貯金をしておくよりはメリットの大きな制度です。 - 屋号付きの銀行口座を開設できる
屋号付きの銀行口座がないと個人名での口座と取引をすることになるので、取引先を不安にさせてしまうこともあります。
また、確定申告などに仕事用の銀行口座と個人の口座分けていないと、仕事用のお金の動きか、プライベートのお金の動きか分からなくなってしまいます。
飲食店の開業届を出さなくても良いケース

飲食店開業が2店舗目以降のケース
開業届は店舗ごとではなく、事業者ごとに必要になるので、既に飲食店経営をしている場合特に届出は不要です。
法人経営の場合
ただし法人化して開業すると個人開業するよりも多くの手続きが必要となり、税理士などに依頼をしなければ書類を用意をするのが難しいかもしれません。
法人化して飲食店を開業するのはお得?

法人化して飲食店を開業するというのは本当にお得なのでしょうか。
法人は提出書類が多く事務処理が煩雑
このような事務処理をこなすには税理士などの専門家の力が必要となり毎月30,000円から50,000円、決算月だと120,000から200,000円ほど必要となってきます。
複雑な事務処理を飲食店を経営しながら自らするのは困難で、これだけで年間で500,000が固定費としてかかってしまいます。
また、社員を雇っている場合は社会保険料の負担もしなければなりません。
個人事業主で開業している場合は社会保険料の加入は任意ですが、法人だと必須となります。
ある程度利益が出てから法人化を検討
飲食店を開業したばかりの段階であれば、個人事業主として開業した方が有利な部分は多いです。
法人化による節税対策は、ある程度利益を産み出されている状況において有効なことであり、飲食店を開業したばかりでまだ利益を産み出せていないという状況では節税対策をとることはできません。
むしろ最初は青色申告ですることができる赤字繰越をやっておいた方が、節税対策として有効なものとなるでしょう。
また、良くある勘違いとして個人事業主だと銀行から融資を受けにくく法人だと銀行融資を受けやすいのではないかということがあります。
しかし銀行融資の難易度は、自営業であっても法人になっても変わりはありません。
ほかの取引先であっても、個人事業主だから信用できないということはなく、個人事業主でも屋号付きの銀行口座を開設できるので全く問題ありません。
まとめ
飲食店を開業する際に、開業届を提出すると確定申告の際に青色申告ができたり、小規模企業共済による退職金制度を利用できたり様々なメリットがあります。
開業届を提出せずに、通常の白色申告にすると確定申告等の手間はあまりかかりませんが、税金を多く払うことになってしまいます。
また法人を設立すると開業届は提出する必要はありませんが、代わりに様々な書類を関係各機関に提出しなければなりません。
やはりまずは個人事業主として開業届を提出して、青色申告で事業を始めるというのが最も現実的なやり方ではないでしょうか。