融資面談の前に知っておくべきこと
面談担当者は数字だけでなく「想い」も評価する
融資面談では、担当者は事業計画の数値だけでなく「なぜこのお店を始めようと思ったのか?」という背景を掘り下げてくる傾向にあります。初めての開業の場合、どうしても過去の経営実績を示すのが難しいため、数字の整合性は言うまでもありませんが、事業にかけるあなたの「想い」や「熱意」を知りたいと考えています。そのため、事業を成功させるための具体的な準備だけでなく、他でもないあなたがなぜこの店をやるのかを語れることが評価のポイントとなります。

Commento del supervisore
融資先は、初めての開業であれば日本政策金融公庫が第一候補となり、次に信用金庫にアプローチするのが一般的です。地方銀行やメガバンクは、ある程度の規模がないと取引が難しい傾向にあります。
融資面談で評価される4つのポイント
金融機関の担当者は、次の4つのポイントから総合的に融資の可否を判断します。
①自己資金
開業に必要な自己資金はおよそ全体の3割程度と言われています。飲食店開業に必要な資金をおおよそ1,000万円とした場合、300万円以上を自己資金として準備する必要があります。
出典:日本政策金融公庫「創業の手引+」より抜粋・加工
また、自己資金があることを伝えるために通帳を見せる必要がありますが、資金の出所も詳しく確認されます。
例えば資金の大部分が一気に入っていた場合、それは別の事業の売上か、誰かからの支援金なのか、そうであるなら借用書や請求書といった証拠が求められます。出所が説明できない場合「見せ金」と判断される恐れもあるため、「どうやって自己資金を貯めたか」を明確に説明できるようにしましょう。
②経験・能力
これまでの飲食業界での実務経験、マネジメント能力や接客スキルなどが評価されます。
例えば、自分が店舗の運営を任されていた場合、その店舗の売上や原価、人件費のコントロールを通じて「最終的に利益を残せた」経験があれば融資担当者にアピールできる実績となります。また、それ以外でもスタッフの教育実績で実現したことや、高評価の口コミを多く貰った等の実績もアピールできるものになります。
一方、飲食業界を未経験で開業するために融資を受ける場合は、「経験不足を補える強み」をアピールする必要があります。
例えば、会社の経理事務の経験があるなら、帳簿やデータ管理によって利益の出る事業形態を示す、卸の経験があるなら目利きや交渉力をアピールする等、自身の強みを活かした店舗づくりができることを真摯に伝えましょう。また、飲食店のアルバイトなど、できる範囲で経験を積み、実務理解を深めることもおすすめです。
③返済能力
当然ながら、融資面談では事業が利益を出し、貸したお金が確実に返済されるかどうかが最も重視されます。そのため、事業計画書の収支計画は具体的かつ、根拠を明確にしなくてはなりません。特に、理想的とする売上から例えば25%、50%と「下振れる」パターンも準備し、その場合に人を減らして店を運営するといった対策を提示すると良いでしょう。
加えて、融資担当者は「納付すべき期限までに支払いがされているか」をシビアに見てきます。家賃、公共料金、クレジットカード等の遅れや未納があると融資がかなり厳しくなるため、注意が必要です。
④資金使途
一般的に銀行は融資希望額の根拠を知りたいと思っており、それぞれの資金使途について「なぜそれだけ必要か?」を明確に説明できるようにする必要があります。内装工事費や厨房設備費といった「設備資金」は具体的な根拠をもたせやすいですが、運転資金はなぜその金額が必要か、理由をしっかりと説明できるように準備しておきましょう。

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例えば、設備資金の場合、銀行は工事や備品の請求書をエビデンスとして融資を判断することがあり、さらに融資実行と同時にその代金が支払先へ振り込まれるケースもあります。それくらい資金使途には厳しいチェックが入ります。
融資面談で聞かれることの多い9つの質問と回答のポイント
ここでは実際に聞かれる可能性の高い質問を「事業計画」「経歴・自己資金」「資金使途・返済計画」に分けてお伝えします。回答のポイントを参考に、自分の言葉に落とし込んでみてください。
事業計画について
質問例: なぜ、この事業を始めようと思ったのですか?
回答のポイント: お店を開きたいと思ったきっかけや、これまでの経験を交えながら、事業にかける熱意と想いを伝えます。自分ならではの具体的なストーリーを話せるようにしましょう。
特に、事業が多くの人に利益を与えることにつながるとアピールできれば、金融機関の評価は高くなります。
質問例: なぜ、その場所で営業したいと思ったのですか?
回答のポイント: 単にその物件に空きが出たから、といった曖昧な回答は避けましょう。収支計画に照らして家賃が適正だった、近隣の競合店や、人通りの数、通行人の属性などを分析した結果可能性を感じた等、出店に納得の行く理由を伝えます。
質問例: どのようなお店にしたいですか?ターゲットは誰ですか?
回答のポイント: 年齢・性別・職業・シチュエーションなど具体的なターゲットを設定し、提供したい価値を明確に答えます。
帰り際に言われたい一言や貰いたい口コミ、リピートにつなげるための施策まで考えるとさらに説得力が増すでしょう。
質問例: 主力となる商品は何ですか?
回答のポイント: メインの商品として、初めて来たお客さまに必ず注文してもらいたい商品を用意します。また、主力商品をメインに置く理由も説明できるようにしましょう。加えて、仕入先が確保できており、商品をコンスタントに提供できることも伝えます。
経歴・自己資金について
質問例: これまでの経歴を教えてください。
回答のポイント: 飲食業界での経験や、開業に役立つスキル、マネジメント経験などを中心に、簡潔に答えます。飲食業界での経験は、売上や管理していた店舗数、従業員数も伝えられるとなお良いです。なお、調理技術をアピールするなら、SNSや過去の料理写真も用意しましょう。
質問例: 自己資金はいくら用意しましたか?どのように貯めましたか?
回答のポイント: 通帳などで自己資金の出所を証明できるように準備しておきます。
資金使途・返済計画について
質問例: 融資された資金は何に使いますか?
回答のポイント: 資金使途の内訳(例:内装費〇万円、厨房機器〇万円、運転資金〇万円など)を具体的に説明します。設備費用は根拠となる見積書、運転資金は算定根拠を準備しておくと説得力が増します。
質問例: どのように返済していく予定ですか?
回答のポイント: 事業計画書に基づき、売上予測から返済したうえで利益が残せることを論理的に伝えます。売上は客単価の想定と繁閑差を考慮した回転率、利益は原価や人件費等、精緻に計算することが求められます。
質問例: 計画がうまくいかず、返済が上手くいかない場合はどうしますか?
回答のポイント: 開業前は誰もがポジティブな未来をイメージしがちです。いわゆる「下振れ」、さらに言えば最も悪かった場合のパターンも想定し、具体的な対策(人件費削減、メニューの見直し・集中)を伝えます。
また、面談前に、信頼のおける知人やパートナーに自分の事業アイデアをぶつけてみるのも良い方法です。第三者からの率直な意見を聞くことで、上記以外にも聞かれそうな質問や事業の弱点が見つかるかもしれません。

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改めて、銀行は「なぜやろうと思っているのか、どういう成功計画なのか」を一番知りたがっているので、事前にしっかり用意しておきましょう。 収支計画は、売上が25%下がった場合、50%下がった場合といった下振れパターンもシミュレーションしておくことが非常に重要ですが、売上が50%下振れしても年単位は潰れないといった計画が立てられると理想的です。
面談当日の準備
当日持参する書類
融資面談には、以下のような書類を準備しておく必要があります。
- 事業計画書
- 自己資金の出所がわかる通帳
- 運転免許証やパスポートなどの身分証明書
- お店の賃貸借契約書(契約済みの場合)
- 設備や内装の見積書
- 履歴書や職務経歴書
これらの書類に加えて、もしあれば市場調査の結果や、メニューや試作品の写真なども持参すると良いでしょう。
担当者に好印象を与える話し方
面談では簡潔で分かりやすい話し方を心がけましょう。緊張から話が長くなったり、論点がずれたりしないよう、事前に受け答えをシミュレーションしておくことが有効です。
服装は清潔感をもって
服装は特に指定はありませんが、最低限のマナーは必要です。信頼が置ける人だと伝わるように、清潔感のある髪型や服装を心がけますが、悩むならスーツで赴くのが無難でしょう。
面談結果はいつ頃出るか
面談から結果が出るまでの期間は、金融機関や融資の状況によって異なりますが、一般的には1〜2週間程度で連絡が来ることが多いです。面談の際に、担当者に直接確認しておくと安心でしょう。
まとめ
①自己資金は金額だけでなく出所もはっきりさせる
②数字や返済能力はもちろん重要だけど、自分の熱意も伝える
③前もって受け答えの準備を
飲食店開業の融資面談は、あなたの事業への熱意や準備の度合いを伝える大切な場です。単に資金を借りるためだけでなく、事業計画の具体性を再確認し、担当者に信頼してもらうための貴重な機会でもあります。質問の意図を理解し、「数字の根拠」と「事業への想い」を明確に伝えられるように準備を進めましょう。














